スペイン語の小説がEPUBファイルでスマートフォンに入っていて、「EPUB 翻訳」で検索したとします。その名前で見つかるツールは2種類あります。1つは本を母語の本に変えるもの、もう1つは本をスペイン語のままにして、読むのを助けるものです。
物語だけを楽しみたいなら前者を使います。スペイン語を学んでいるなら後者です。この記事の残りでは、それをうまく進める方法を説明します。始める前に確認すること、学習中の言語のEPUBの探し方、そして3ページ目で挫折せずに読む方法です。
EPUB翻訳ツールはありますか?
あります。この名前には2種類のツールが含まれます。書籍まるごとの翻訳ツールはEPUBを母語の本に変え、翻訳つきリーダーは本を原文の言語のままにして、選んだ部分だけを翻訳します。
書籍まるごとの翻訳ツールは、EPUB全体を機械翻訳します。母語の新しいファイルができるか、原文の段落ごとにその翻訳が続く二言語版のファイルができます。
翻訳つきリーダーは原文を開き、選んだ単語やフレーズだけを翻訳します。ページは学習中の言語のままで、読みながら必要なところを調べます。
全文の翻訳が本文の隣にあると、すでに知っている言語ばかり読んで、もう一方は目で追うだけになりがちです。物語は追えますが、読む作業の大半は母語で行われます。リーダーなら、どの文も新しい言語で、翻訳はわからない部分を補うためだけにあります。
二言語版のファイルが役に立たないわけではありません。ページが難しすぎるとき、段落全体の翻訳を見ると乗り切れることがあります。ただ、毎ページそれが必要なら、その本は今は難しすぎます。もっとやさしい本のほうが身につきます。詳しくはレベルを上げるタイミングの見分け方をご覧ください。
EPUBを無料で翻訳できますか?
1文や1ページずつなら可能です。Google Play Booksでは、アップロードしたEPUBの選択したテキストを翻訳できます。手順はこの先で説明します。本全体の場合、無料のツールでもテキストを何らかの形で処理するので、ファイルをアップロードする前にプライバシー規約を読んでください。
自分の端末上で動くものでない限り、書籍まるごとの翻訳ツールは本の全文をオンラインの翻訳サービスに送り、返ってきた内容から新しいファイルを作ります。その後、本がどう扱われるかはそのサービスの規約しだいで、同じサービスでも無料版と有料版で大きく違うことがあります。
DeepLがよい例です。DeepL自体はEPUBファイルを受け付けていません(プライバシーポリシーには、無料の翻訳ツールで使える形式として.docx、.pptx、.pdfが挙げられています)。それでも、このポリシーから違いがわかります。無料版にアップロードした内容は「ニューラルネットワークとアルゴリズムの学習と改善のために、限られた期間」処理される、と書かれています。有料のProアカウントでは、翻訳が終わるとテキストは削除され、サービスの改善には使われません(DeepLのプライバシーポリシー)。書籍まるごとのツールがどのサービスを使い、何を保持するのかを明記していなければ、あなたの本がどちらの扱いになるのか知る方法がありません。
どのツールを使う場合でも、ファイルにDRMがかかっていないことが必要です。最初に確認することで、確認方法は下のDRMの節で説明します。
原文を翻訳つきで読むと効果がある理由
テキスト中の単語の横に添える短い翻訳や定義のことを、言語研究者はグロスと呼びます。グロスは数十年にわたって研究されてきました。
1996年のある研究では、フランス語を学ぶ上級レベルのオランダ人学生が、フランス語の短編小説を3通りの方法のどれかで読みました。知らない単語の翻訳を余白に付けたもの、二言語辞書を使うもの、助けなしのものです。同じ単語に1回ではなく3回出会うことの効果は、余白の翻訳や辞書があった学生のほうが、助けなしの学生よりも大きいという結果でした。どちらもないと、読者は知らない単語を無視するか、意味を取り違えることが多く、その単語に再び出会っても得るものが少なくなる、と著者らは書いています(Hulstijn, Hollander & Greidanus, 1996)。
2020年に発表された42件の研究のレビューでも、より大きな規模で同じ結果が出ています。読んだ直後のテストで、グロスつきで読んだ学習者は新出単語の**平均約45%、グロスなしでは約27%**を知っていました。母語のグロスは、学習中の言語のグロスよりも効果が高いという結果でした(Yanagisawa, Webb & Uchihara, 2020)。
これらの研究は、紙でも画面でも、さまざまな種類のグロスを調べたもので、特定のアプリを調べたものではありません。ですから、1つのアプリがあなたにどんな効果をもたらすかはわかりません。どの研究も、すべての単語を調べるようにとは言っていません。わかったのは、必要なときにすぐ翻訳を見られると単語の習得に役立つこと、そして読む作業は自分で行うということです。
まず、ファイルを開けるか確認する
何よりも先に、EPUBにDRMがかかっているかどうかを確認してください。DRMは電子書籍に付けられるコピー防止の仕組みで、Koboのヘルプページには「電子書籍の無断共有から保護するのに役立つ」とあります(Kobo)。DRMのかかった本を開くには、ストア公式のアプリや、Adobe Digital Editionsのような、ロックを解除する許可を持つソフトウェアが必要です。Koboのページによると、Adobe Digital Editionsは図書館の貸出本や他のストアのDRM保護された本に必要な場合があります。自分のファイルをインポートするアプリでは、ロックを解除できません。
どのツールが使えるかは、これで決まります。
- DRMのないEPUBは、EPUBファイルに対応した読書アプリならどれにでもインポートできます。
- DRMで保護されたEPUB(図書館の貸出本など)は、ロックを解除できるアプリの中でしか読めません。
- Kindleの本はKindleの中にとどまります。本がそこにあるなら、Kindleは語学学習に向いているかで、Kindle標準の辞書とVocabulary Builderでできることを説明しています。
別のアプリで読む本を買うなら、支払う前に、ストアがその版をDRMなしで販売しているか確認してください。
学習中の言語のEPUBはどこで見つかりますか?
Project Gutenbergには、フランス語、フィンランド語、ドイツ語の無料の電子書籍が数千冊、スペイン語とポルトガル語のものが数百冊あります。新しい本は、DRMなしの版を販売している店を探してください。
Project Gutenbergがまず思い浮かぶ選択肢です。7万5千冊を超える電子書籍を揃えた無料のライブラリで、EPUBをダウンロードでき、英語だけではありません。2026年10月時点の言語一覧では、フランス語が4,009冊、フィンランド語が3,403冊、ドイツ語が2,355冊、イタリア語が1,071冊、オランダ語が1,054冊、スペイン語が891冊、ポルトガル語が647冊でした(Project Gutenberg)。
知っておきたい点が2つあります。
- 本が無料なのは、アメリカ合衆国で著作権が切れているからです。Project Gutenbergは、ほかの国に住んでいる場合、ダウンロードする前にその国の法律を確認するよう案内しています(Project Gutenbergのライセンス)。
- 著作権が切れているということは古いということでもあります。1860年の小説は1860年の言葉で書かれていて、今あなたが話せるようになりたい言葉とは違います。この問題については古い言葉づかいを避けて名作を読むで詳しく説明しています。
新しい本は、DRMなしの版を販売している店や出版社を探し、購入前にその本のページで確認してください。
翻訳機能つきの電子書籍リーダーはどれですか?
Google Play Booksには翻訳機能があります。Androidでは、アップロードしたEPUBのテキストを選んで「翻訳」を選べます。Simply Fluentのような語学学習者向けの読書アプリも、選んだ部分を翻訳し、保存した翻訳を残します。
始めるのに新しいアプリは要らないかもしれません。Google Play Booksでは自分のEPUBファイルをアップロードでき、サインインしたどの端末でも読めます(Google)。本の中でテキストを長押しして選び、「翻訳」を選んで2つの言語を指定します。Googleのヘルプページには、Androidアプリでのこの手順が載っています(Google)。
たまに出てくる文を調べるには十分です。ただ、覚えていてはくれません。50ページ後に同じ単語が出てきたら、また調べることになります。私がオランダ語の本を初めて読もうとしたときに行き詰まったのが、まさにそれでした。紙のハリー・ポッターを読みながら、スマートフォンのGoogle翻訳を使っていて、数ページで諦めました。同じ単語を何度も調べ直し、次のページで同じ単語が出てくることもありました。
Simply Fluentで読む
EPUBをインポートすると、アプリが本の言語を検出します。知らない単語やフレーズを選ぶと、その意味がすべて表示され、その文での意味がハイライトされます。翻訳を保存すると、以後に読むすべてのページで、その本でも、同じ言語のほかの本でも、その単語やフレーズの上に小さな文字で翻訳が表示されるので、同じ単語を2度調べずに済みます。保存した翻訳は、フラッシュカードにもなります。
読み込めるのはEPUB、TXT、Markdownのファイルで、PDFはプレミアムで利用できます。DRMで保護されたファイルはインポートできません。無料版では1冊までインポートでき、プレミアムなら冊数の制限はありません。どなたも30日間の無料トライアルから始められます。
挫折せずにEPUBを読み通すコツ
どのツールを使う場合も、次のことを心がけると続けやすくなります。
- だいたい内容を追える本を選ぶ。 文のたびに1、2語より多く調べているなら、読んでいるのではなく解読している状態です。何を見て選ぶかは最初の一冊の選び方で説明しています。
- 読み進めるのに引っかかる語を調べ、そうでない語は飛ばす。 推測できる単語や、展開に影響しない単語は後回しで構いません。すべての単語を理解する必要はありません。
- 何度も出てくる語を調べる。 1つの章で3回見た単語は、また出てくるので、調べる価値があります。
- 短く、定期的に読む。 そうすれば、次に本を開くときも、物語と単語がまだ記憶に残っています。
本を開いて最初のページを読み、引っかかる単語を数えてみてください。ほとんどの文で1、2語を超えるなら、今はもっとやさしい本のほうが身につきます。
よくある質問
- EPUB翻訳ツールはありますか?
あります。EPUB全体を機械翻訳して母語の新しいファイルにしてくれるツールもあれば、原文の段落ごとに翻訳を並べてくれるツールもあります。物語だけを楽しみたいなら、それが合っています。言語を学んでいるなら、翻訳つきEPUBリーダーのほうが身につきます。原文を読み、必要なところだけ調べられるからです。
- EPUBを日本語に翻訳するにはどうすればいいですか?
本全体なら、書籍まるごとの翻訳ツールを使います。ファイルをアップロードする前に、プライバシー規約を読んでください。1か所ずつなら、Google Play BooksにEPUBをアップロードし、テキストを選んで「翻訳」を選べます(Androidでの手順はGoogleのヘルプにあります)。どちらの場合も、ファイルにDRMがかかっていないことが条件です。
- 翻訳機能つきのEPUBリーダーとは何ですか?
EPUBを原文の言語のまま開き、選んだ単語やフレーズの翻訳を表示する読書アプリです。ページのそれ以外の部分は、著者が書いたままです。保存した翻訳を残しておき、後で復習できるものもあります。



















